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ぽかんとしている壱也くんと目が合った瞬間、私の顔は一瞬で茹でタコになった。
クラス中が静まり返る中、その沈黙を破ったのは、私。
「あ、あの、お邪魔しました…!」
そう言って誰を見るでもなく、クラスに一礼してA組を飛び出した。
壱也くんとのすれ違いざま、彼は私に何か声をかけようとしたようにも感じたけど、気付かないふりをして早足にクラスへと戻った。
「やだ、どうしたの凛?顔真っ赤!」
私、なんてことしちゃったんだろう。
恥ずかしくてもうA組に行けないよ…。
「真希…私、穴があったら入りたい」
「…えっ?今度は何やらかしたの…?」
真希はやれやれといった感じで溜息をつきながらも、心配をしてくれる。
「この学校に新聞部がなくてよかった」
「は?」
「もしもあったら、きっと二度目の一面記事だったと思う」
私はみんなの話の種になりたいんじゃない。
ただ、壱也くんと一緒にいたいだけなのに。
どうしてこうも空回りの連続なんだろう。
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