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始まりは2か月前、爽やかな風によって桜の舞っていた高校の入学式。 壱也くんを初めて見たのは、体育館のステージ上に立つ姿だった。 緑のネクタイに、紺のブレザーをキリッと着こなして、スマートにマイクに向かった彼。 爽やかな黒髪、大き過ぎない二重の目、筋の通った鼻。 そして、癖のない優しい声。 「──────新入生代表、(たちばな)壱也(いちや)。」 挨拶はほとんど覚えていないけど、名前はしっかりと頭にインプットした。 それはもうかっこよくて、キラキラと輝いていて、私は、一目惚れ。 初めての恋をした─。
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