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「…気にしない方がいいよ」 その言葉にハッとして壱也くんを見ると、心配そうな、同情したような顔で私を見ていた。 「あ、うん!」 大丈夫なつもりだったのに、心配されると惨めな気持ちが湧き出てしまう。 私今、上手く笑えてるかな。 「わざと聞こえるように言う方が怖いよな」 「でも…本当のことだよね」 「いや、俺はそんな風には…」 壱也くんは、優しい。 そうだよ。 壱也くんは、最初にちゃんと断ったのに。 好きでもない、むしろ大して知りもしない女に毎日のように好きと言われて付きまとわれて…これって…。 さっきまで軽かった足は鉛がついたかのように重くなり、胸が苦しくなった。 壱也くんは、優しいから。 本当は嫌だったりするのかな。 迷惑だったり。 ただ断れなくて。 100日が過ぎるのを心待ちにしてたり。 今までのポジティブな私が嘘かのように、ネガティブなことしか考えられない─。 それから玄関まで、壱也くんとどんな風に歩いたのか覚えていない。 せっかく貴重な2人の時間だったのに。
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