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異動4日目、金曜日の就業後に三課の歓送迎会が開かれた。美間さんの退職は月末だけど、もう殆ど出社の予定が無いから。
「どう?三課の仕事。少しは慣れた?」
って高藤さん、グラス片手に流し目でそんな事聞かれても、何にも考えられませーん。
「えっと、はい、まあ...」
曖昧な返事をしていたら、高藤さんがとんでもない事を仰った。
「良かった。実際、良くやってくれてると思うよ?やっぱり俺が惚れただけあるわ。」
へ????今何て?何て仰った?惚れた?惚れたって言ったよね??まさか?まさかの高藤さんからの猛アタック?こんな公衆の面前で愛の告白?!
「あ、惚れたって、書類ね。」
....ショルイ...って、ナンノコト?
「前々からね、営業会議とかで一課の課長と係長が出してくる書類が完璧だなって思っててさ。分かりやすい、見やすい、間違いが無い。あの人たち、“自分で作りました”的な雰囲気出してるけど、そんな訳ないでしょ?パソコンとか全然ダメなのにさ。で、あー藤崎さんが作ってるんだなって思ってた。」
だよねー、ですよねー。でもね、高藤さん。一瞬、恋愛的な“惚れた”に期待しちゃったよぉ。
まあ、恋愛的にでは無かったにしろ、褒められて嬉しい。アシスタントなんて陰の仕事だなって思ってたけど、見てくれる人はちゃんといるんだな。
「ということで、引き続き宜しくね。何コンビを目指すんだっけ?シルバー?ブロンズ?」
「いえっ、もちろんゴールデンです!!」
〈end〉
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