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会議室で、営業の田中部長は徐に何やら印刷されたB5サイズの少し分厚い紙を渡してくれた。
ん?ええっと?
『辞令』営業一課、藤崎朋美を営業三課へ異動とする。令和元年5月7日
じっ、辞令っ?!何これ?日付今日なんですけど?営業三課ってどういうこと?
「それ、今日からだから頑張って。高藤くんのアシスタントをしてもらうから。」
「えっ?ええっーーー!」
部長の前だと言うのにびっくりし過ぎてとんでもない声がでちゃったよ。高藤さんのアシスタント?!むりっ、無理だよぉ、遠目に拝むだけで鼻血が出そうなのに、一緒に仕事とか、絶対無理っ!
「あ、それ拒否権ないから。ま、良いでしょ、一課より、若手ばっかりの三課の方が。じゃ、早速席も移動してね。」
田中部長は「じゃっ」て軽く言うけど、今からぁ?一人残された会議室でしばしボンヤリしてしまったけど、そんな場合じゃなかったーーー!
とりあえず必要そうな物だけを手早くまとめて三課の島に行くと、美間さんが出迎えてくれた。きゃぁっ、もうっ、良い香り。美しい人は周りに纏っている空気までが美しいわ。
「はい、ここ。この席使ってね。」
えっ?この席って美間さんの席なんだけど、美間さんはどうするの?
「まだね、一部の人にしかお知らせしていないんだけどね、私今月いっぱいで退職するの。ゴメンね急で。」
うふっ、と可愛らしく微笑む美間さん。
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