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午前中はバタバタし過ぎて、時間の感覚もおかしかった。やっとの思いで昼休みの休憩室にたどり着き、丸椅子に腰掛けてテーブルに突っ伏した。
「おぉー、大変な事になったねぇ。」
「大丈夫?朋美ちゃん。お姉さま方の間ですっごい噂になってるよぉ。」
千花ちゃんと、同じく同期の川瀬凜々ちゃんが向かいの席に座ってそう言うけど、うわさ?
「何、噂って?」
「「ええ?何か、ねぇ?」」
って千花ちゃんと凛々ちゃんは顔を見合わせてる。
「朋美ちゃんが、部長に色仕掛けで異動を迫ったとか?」
「いや、私が聞いたのは高藤さんに色仕掛けで...だったよ?それで、美間さんから奪った上に、美間さんを退職に追いやった悪女に仕立てられてたけど。」
「まさかの、高藤さんのゴリ押しだって噂まであったね。実は朋美ちゃんに猛アタック中っていう...まさかだけど。」
.......はぁぁぁ。
「まあ、それにしても朋美ちゃん、勇気あるわぁ、あの三課に行くなんて。私は無理だわぁ、一人で顔面偏差値下げに行くとか。」
「いやっ私だって無理だよぉ。でも拒否権なかったし、今すぐって...」
これが、中企業のフレキシブルなところなのかな?今日の今日で異動とか普通しないでしょ?でもウチの会社のワンマン社長は思い立ったら止まらない、急な人事異動もありなかもしれない。
「あれっ?でも私が抜けた一課のアシスタントはどうなるの?」
「それは研修終わった今年の新人さんを配属するから問題ないみたい。ホラ、去年の朋美ちゃんと一緒だよ。」
なる程、入社2年目の私たちは、去年は新人さんだった。一課はそういう扱い。普通の企業なら一課が花形だったりするんだろうけど、ウチの会社は取り残された人の溜まり場。メインが営業二課と、若手の営業三課なのだ。
それにしても、噂ってコワイよぉ。ダメダメ、そんな噂を気にしてちゃ!
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