夜の星

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「おふくろ、久しぶり、正月だから挨拶に来たよ。何年ぶりかな。ハハハ、懐かしいな、この家。そうそう俺結婚したからな。ホラ、史恵、挨拶しろ」 「初めまして、お義母さん、史恵と申します」 その時はもう、百合子は心底喜んだ。和夫は結婚なんか出来る訳がないと思っていたからだ。 「初めまして、史恵さん、正月なので、お節料理を作ってあるの。口に合うかどうか解らないけれど、良かったら食べて。ねっ」 「はい。お気遣いなく。私は台所の事を手伝いますよ」 秀一郎と息子達はここぞとばかりにお節調理を食べながら日本酒をがぶ飲みしている。台所には長男や次男の嫁がいた。 「そう、それじゃあ、お願いね。ああ、紀美子さん達を紹介するわ。紀美子さんは息子のお嫁さんなの。他の二人もそうよ、貴女のお姉さんや妹になるわね。紀美子さん、史恵さんを紹介するわ。和夫が連れてきてくれたの。台所の事を教えてあげてね」 「史恵さん、初めまして、紀美子です。史恵さん若いわね。何歳?」 「四十です」 「そう、それじゃあ、和夫さんとは十歳位離れているのね。私は十二歳も上だわ。宜しくね」 「はい。私何をしたら良いですか?」 「ああ、皆の食べているお皿が無くなったら運んだり、片付けたりしてくれればいいわよ。お料理はもう全部出来ているの。作るとしたらお雑煮だけよ」 「そうですか。お雑煮、地方によって作り方違うんですよね。作る時になったら教えて下さい」 史恵さんは和夫の相手にしては真面目で控えめな女性に見えた。百合子は安心する。四十では孫が産めそうにないが、和夫が落ち着いてくれるのは有難かった。
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