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「そうですね。三番目の息子の和夫が幸せにやっているか、この目で確認したいです」
「では、二十年前から遡って見れるようにしてあげましょう」
急に目の前が真っ暗になって気がつくと百合子は何処かの駅にいた。何だか自分の身体が透けて見える。空も飛べそうに軽い。辺りを見回すと深谷市と駅の看板に書いてあった。埼玉県の深谷市にいる様だ。
神様、願いを叶えてくれたんだ。
そう言えば、和夫は駅の近くのアパートに住んでいるって言っていた記憶がある。ここから近いのだろうか。そう考えていた時、和夫そっくりな人が駅から出てきた。百合子は思い切ってその後を着ける。二十分位歩いてから、和夫が入っていったのは、大谷ハイツと言う古びたコーポだった。
こんな所に一人寂しく住んでいたんだ。
百合子の胸が痛む。
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