夜の星

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百合子は千葉県船橋市にある、有料老人ホームに入居している。3年前に脳梗塞になったのがきっかけだ。ここに入居する前は同市にある、二階建て一軒家の家に夫の秀一郎と住んでいた。子供達が小さな時に建てた家で、築、四十年以上経っている大事な家だ。だが、秀一郎が肺炎で入院し、同時期に百合子は脳梗塞で倒れてしまう。それで二人での暮らしを心配する息子達が心配して、この辺りで一番良い老人ホームに入居させてくれたのだ。百合子は現在八十三歳。脳梗塞の後遺症で右半身が麻痺してしまい、車椅子になってしまった。 きっとここで生涯を終わらせるのだろう。 子供は全部で四人いる。全て男で大工の棟梁だった夫、秀一郎の影響を受けて、建築関係の仕事をしている。三番目の子供を除いて、皆、近所に家を建て可愛い孫(可愛いと言っても一番小さな孫で高校生だ)の顔を見せに面会にやってきてくれる。 三番目の子供、和夫は小さな頃から勉強が嫌いで、中学生に上がった頃にはもうタバコを吸ったり、お酒を飲んだり、本当に心配ばかりかける子だった。高校には上がらず、暴力団に入ってしまい、怒った秀一郎が勘当したのだ。三十歳になった頃には落ち着いて、型枠大工を始めたらしいのだが、埼玉県の田舎の方のアパートに一人で住んで家には寄り付かなかった。だが、百合子と秀一郎がまだ一緒に住んでいる時、秀一郎が死ぬ数年前に結婚したと言って、若い綺麗な奥さんを連れて正月にやって来た。
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