それぞれの色。

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 「それはがっくんだろ、童貞が」  顔の大半をフードに覆われた拓海が、何故か俺だけにど突き掛かってきた。明らかにチェリーである俺だけを狙った卑劣な犯行。許せない。因みに未だに蒼ちゃんがノーチェリーなのかは未確認。自分だけチェリーである事が確定してしまうのは、やっぱりキツくて聞けない。  「ていうかさ、そりゃあ、自己顕示欲とか承認欲求ってあると思うんだけどさ、みんなもっと気軽にSNSやってるんじゃない? なんかちょっとした事を言いたい。でも友達に電話するまでもない。だからSNSに投稿。みたいな」  俺が拓海に結構な仕打ちを受けているというのに、マルオが散らかった話を本題に戻した。  「友達に話すまでもない話を、知らない誰かに話したい事なんてある? 自己顕示欲がもう手に負えない状態やん、それ。末期やん」  『ごめんだけど、全然共感出来ないよ、マルオ』と蒼ちゃんも俺の状態に興味も示さない。酷い。  「アレじゃん? 世界と繋がりたいってヤツじゃん?」  俺と絡むのに飽きたのか、俺からパッと手を放し蒼ちゃんとマルオの会話に加わる拓海。酷い酷い。  「世界と繋がって、それから?」  誰も相手にしてくれなくなってしまった為、俺も会話に混ざる。
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