それぞれの色。

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 「何、最後の『強制はしないけど辞めるな』っていう矛盾。てか、俺は全然構わないよ」  拓海が『心配すんなって』と蒼ちゃんの肩に腕を回した。  「拓海は出会った時から『役者になるんで』ってしゃあしゃあと言っていた男だからな。アンチとかどうでもいいタイプだろ。だから拓海には聞いてない。がっくんとマルオへの確認」  蒼ちゃんが、勝手に肩組された拓海の腕を振り解いた。  「オイオイオイオイ。蒼ちゃんなんか『監督兼脚本家兼演出家になる』ってほざいてたじゃねぇか」  『何だよ、しゃあしゃあって‼』と拓海が再度蒼ちゃんに絡みついた。  「違いますー。『監督兼脚本家兼演出家兼編集』ですぅー」  『そこんトコ、間違えないでー』と蒼ちゃんが拓海のオデコを人差し指で突っついた。  「厚かましいな、オイ」  拓海が蒼ちゃんの指を握り、自分の額から離す。  「てか、ちょっと黙ってよ、拓海。俺、がっくんとマルオの気持ちが聞きたいのに」  今度は拓海の口に手のひらを押し当てた蒼ちゃんが、マルオと俺の顔を見た。
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