それぞれの色。

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 「拓海はちょっと静かにしてて。拓海の気持ちは聞かなくても分かってるから。がっくんとマルオはどうしたい? 乗り気じゃないなら、無理に俺らに合わせる必要ないから。進路に関わる事だから、真剣に考えて」  蒼ちゃんが、『落ち着きなさい』と肩の上にある拓海の手を退けると、マルオと俺に真面目なトーンで話し掛けた。  「事務所に入れば、岳海蒼丸の作品がもっともっとたくさんの人の目に留まるチャンスがあるって事だよね? それは凄く良い事だと思う。俺はこれからも岳海蒼丸で作品を作りたいし、多くの人に見て欲しい。…でも、進学はしたい。建築の勉強はしたいんだ。欲張りで我満な事を言っているのは分かってるんだけど…」  マルオが床に視線を落として肩を窄めた。
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