それぞれの色。

74/97
前へ
/377ページ
次へ
 「卵焼きとウインナー、多めに焼いておいたから、蒼ちゃんの部屋に持って行ってみんなで摘まんで」  花さんが、卵焼きとウインナーが入った皿と、ペットボトルのお茶と、4人分のカップが乗ったトレーを蒼ちゃんに渡した。  「ありがとうございます。なんか、すみません。お姉さん」  蒼ちゃんが言う前に、拓海が花さんにお礼をしてしまうから、  「だから、拓海のお姉さんじゃない。蒼ちゃんの姉‼」  拓海の後頭部を軽く突いてやった。  「やめてよ、がっくん。食事中に頭揺らさないで」  俺の手を払いながら、モリモリおにぎりを食べる続ける拓海を目にし、  「…落ち込んでないやん。食欲旺盛じゃん」  『イヤ、元気で 何よりなんだけどさ』と、マルオはしょっぱい顔で笑った。
/377ページ

最初のコメントを投稿しよう!

109人が本棚に入れています
本棚に追加