それぞれの色。

85/97
前へ
/377ページ
次へ
   「夢はね、例え破れてしまったとしても、自立が出来る術のある者が追って良いものだと、私は思っている」  顔を下に向けたままの俺らの頭上に、拓海のお父さんの言葉が降ってくる。  「夢に向かって信念を持って一途に努力する事は、素晴らしい事だと思う。でもね、周りの意見に耳を傾けられなくなるほど視野を狭めてはいけない。  勉強をするって、無駄な事ではないだろう? でも拓海は勉強する時間が足枷になると考えていた。拓海は昔から、少し頑固なところがあってね、たまに物事を柔軟に考える事が出来なくなる時があるんだ。そんな時は、容赦なく拓海を叱ってやってほしい。  拓海は良い友達に恵まれた。これからも拓海のことを宜しくね。私は岳海蒼丸のファンだから、4人の事を応援するよ」  「...え」  拓海のお父さんの言葉に、4人一斉に顔を上げた。
/377ページ

最初のコメントを投稿しよう!

108人が本棚に入れています
本棚に追加