赤くて、茶色くて、黒い。

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 「おはよー、蒼ちゃん。今日も学校行かないの?」  時刻は午前11時。リビングに行くと、蒼ちゃんが一人でパソコンをせっせと打ちながら脚本を書いていた。拓海とマルオは仕事に行っている様子。  「おはよー、がっくん。てかほぼ昼だけどな。つか、全然学校に行けない。やばいー。9月卒業したいのにー」  『くそー』と言いながらも指は動かし続ける、今日も仕事が忙しい蒼ちゃん。  リビングにいないで自室でモクモクとやった方が捗るんじゃない? と思うが、蒼ちゃんはずっと同じところで作業をするのは気が滅入るらしく、リビングに来たり図書館へ行ったりカフェで仕事をしたりする。気分転換も出来るし、アイディアも湧き易いらしい。  「仕事があるだけいいやん」  それに比べて俺は、卒業してから1ヶ月、全く仕事をしていない。ニート同然。というか、ニートだ。
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