赤くて、茶色くて、黒い。

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 「がっくんは、何かやりたい事とかないの?」  蒼ちゃんの目には、俺がやりたい事を見つけていないから、ニートをしている様に映っているのだろうか。  やりたい事はある。岳海蒼丸の舞台。でも、俺以外の3人はそれ以外の活動がある。岳海蒼丸の仕事以外で、何をすれば良いのか。自分に何が出来るのかが分からないんだ。  「いいよな、みんなは。仕事があってさ。俺には何のオファーもない」  「だって俺ら、がっくんが大学生活を謳歌している最中、めっちゃ必死に自分の事売り込んでたもん。それが今に繋がってるわけであって、何もしてないがっくんが俺らと同じ様に仕事があったら、ちょっと癪だわ」  蒼ちゃんの言葉は、素直な感想で悪意はなかったと思う。でも、『大学時代に怠けてたお前が悪い』と言われている様で、ちょっと苛立ってしまう。
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