赤くて、茶色くて、黒い。

17/44
前へ
/377ページ
次へ
 「黒田さんからだ」  スマホのディスプレイに表示されたマネージャーの名前を確認し、スマホを耳に当てる。  「……え。本当ですか⁉」  マネージャーの言葉に目を見開く。驚きすぎてマネージャーの話があんまり頭に入って来ない。放心状態のまま電話を切ると、  「がっくん、どうした? 何かあった?」  ボーっとしたままの俺の腕を、マルオが心配そうに揺すった。  「……決まったって。ディラン」  「……は?」  俺の謎の言葉に、マルオがさっきとは違う意味で俺を心配そうに見た。    「……『ゴシップハウス』っていう海外ドラマのディラン役の吹き替え、俺に決まったって」  マネージャーからの電話は、以前にマネージャーに『いい声してるし、舞台経験もあって演技だってそこそこ出来るんだから、声優のオーディションも受けてみない?』と勧められて何となく受けたオーディションの合格の知らせだった。
/377ページ

最初のコメントを投稿しよう!

107人が本棚に入れています
本棚に追加