赤くて、茶色くて、黒い。

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 大通りまで走り、タクシーを捕まえ、乗り込む。  タクシーの中で、拓海がマネージャーに電話を掛け、蒼ちゃんが轢かれた事、自分たちも病院に向かっている事を話した。  「……蒼ちゃんの怪我、酷いのかな。マルオ、泣いてたんだよ」  マネージャーとの電話を切った拓海に話し掛ける。  「マルオは物事を深刻に捉えがちだからなー。案外たいした事ないかもよ。でも、骨とか折れてたとしたら入院だよね? 蒼ちゃんの着替えとか持って来れば良かったな」  拓海が、『俺自身も家族も入院した事ないから、何が必要か分からんなー。タオルと歯磨きと……あとは?』と俺に蒼ちゃんの入院準備の相談をした。  「……確かに。マルオはちょっとネガティブなとこあるもんな。まぁ、目の前で人が轢かれたらビックリして泣くのも無理ないか」  拓海の言葉に、ソワソワしていた気持ちが少し落ち着き、『エロ本もいるんじゃね?』と、冗談を返す余裕が出来た。  
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