赤くて、茶色くて、黒い。

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 そんな俺らの目に、霊安室から戻り、泣き崩れる蒼ちゃんの家族の姿が飛び込んできた。  立つことも儘ならないほどに嗚咽する蒼ちゃんのお母さんの背中を、鼻を真っ赤にして泣く花さんが摩っていた。  拓海がふいに蒼ちゃんの家族の方に歩いて行くから、俺もその後を追う。  「……蒼ちゃんに、会いたい。会わせてください」  拓海が、まだ会話が出来そうな花さんに話し掛けると、  「見ないであげて。見ないであげて」  ハンカチを握りしめた蒼ちゃんのお母さんが、頭を大きく左右に振った。  「……元気な蒼ちゃんだけ覚えておいて欲しい。楽しそうに笑う蒼ちゃんだけを……」  母親の気持ちを汲んだ花さんも、蒼ちゃんとの面会を断った。
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