赤くて、茶色くて、黒い。

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 受付を済ませて中に入ると、花さんが親族の席に座っているのが見えた。  拓海と一緒に花さんの元へ行き、  「この度はご愁傷さまでございます」  花さんにとっては今日何度も耳にしただろう言葉を口にした。  俺らを見上げる花さんの目は泣き腫らしていて、抜け殻の様に見えた。  蒼ちゃんと花さんの姉弟仲は、羨ましいほど良かった。最愛の弟を失ったというのに、正常でいろというのは、無理な話だろう。  「お気遣いありがとうございます」  それでも花さんは、形式的に挨拶を返してくれた。  「……あの。やっぱり蒼ちゃんの顔を見せて頂く事は、出来ませんか?」  あの日、『蒼ちゃんに会いたい』と懇願していた拓海が、今日も『蒼ちゃんの顔が見たい』と懇願した。  蒼ちゃんを愛しているのは、花さんだけではない。  拓海にも、マルオにも、俺にとっても、蒼ちゃんは大切な存在だ。
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