赤くて、茶色くて、黒い。

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 「おいで」  と言って、花さんが蒼ちゃんの棺の方へ歩き出した。その後を拓海と歩く。  「見て」  花さんに促されて、棺を覗く。  「……え」  思わず拓海と目を見合わせる。  病院で蒼ちゃんの母親が『見ないであげて』と泣き叫んでいたから、原型を留めていないくらいに損傷しているのかもしれないと覚悟をしていたが、蒼ちゃんの顔は、とても綺麗だったのだ。  「エンバーミングしてもらったの。血色も良くて、ただ眠ってるだけみたいに見えるでしょ」  花さんが愛おしそうに蒼ちゃんの赤い髪を撫でた。  「……俺らも触っていいですか?」  やっと会えた蒼ちゃんの肌に、どうしても触れたかった。  「もちろん」  花さんが快諾してくれたので、拓海と一緒に蒼ちゃんの頬に手を添えた。
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