赤くて、茶色くて、黒い。

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 「マルオくんは……?」  花さんが、まだ姿を現していないマルオを探す様に、受付の方に視線を送った。  「ちゃんと来ますよ。マルオ、蒼ちゃんの事が大好きだから、来ないわけないです。……ただ、マネージャーの話だと、起き上がれないくらいにショックを受けている様で……」  『蒼ちゃんの顔を見ずにお別れなんて、マルオはそんな事しませんよ、絶対』と、拓海が花さんの背中を摩った。  あれから拓海も俺も、何回か岳海蒼丸のグループLINEでマルオに『大丈夫か?』『落ち着いたか?』と呼びかけたが、既読は1。  マルオと蒼ちゃんの既読はつかないままだった。  マルオは絶対に来ると分かっていてもやはり心配で、俺も受付を見つめながらマルオの姿を探した。
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