赤くて、茶色くて、黒い。

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 「蒼ちゃんが亡くなった事を悲しんで泣くのはいい。でも、自分を責めて泣かないで」  花さんが床に膝を付け、マルオに話し掛けた。  しかしマルオは、顔を上げる事も出来ずに、俯いたままだった。  「蒼ちゃんね、本当に3人の事が好きで好きで堪らなかったんだよ。『岳海蒼丸は俺のもうひとつの家族。結婚してないのに、2つ目の家族が出来ちゃった』って言ってたんだよ。マルオくんを助けたのは、蒼ちゃんにとって当然の事だったんだよ。多分、頭より先に身体が動いてたんだと思う。自分の事とか後先なんか考えてなかったんだと思う。マルオくんが無事で良かったって、喜んでるはずだよ、蒼ちゃんは。……自分の弟をこういうのも何だけど……いい子なの。蒼ちゃんはとっても良い子なの。なのに……。飲酒運転する奴なんかに何で蒼ちゃんが殺されなきゃいけなかったの……。誰もマルオくんが悪いなんて思ってない。憎いのも許せないのも、お酒を飲んで車を運転した人間だけ」  花さんが『こんなに悔しい事ってあるんだね』と、慰藉というより、分かち合おうとマルオに言葉を掛け続けた。
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