赤が、点る。

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赤が、点る。

   「現場行ってきまーす。夏川さん、留守番お願いねー」  「はーい。行ってらっしゃーい」  建設会社の地方の支社に事務員として入社し、早14年。  小さい支社なので、事務員は私1人で、作業員やら営業マンやらが出払ってしまえば、事務所には私だけになる。  月末月初以外は緩めの仕事内容なので、1人の時間はゆったりしていて悠々自適。  デスクにコーヒーとお菓子を用意し、頬杖をつきながらネットを見漁る。  「拓海が出るドラマ、今日からかー」  テレビの予定表を見ながら『21時からね。まぁ、忘れたらネット配信で見ればいっか』などと独り言を言いながらクッキーを口に入れる。  正直私は、拓海のファンではなく、岳海蒼丸の中では蒼ちゃん推しだった。  「蒼ちゃんが死んじゃうなんてねー。まだ若かったのに」  蒼ちゃんはいなくなってしまったが、蒼ちゃん推しとしては、蒼ちゃんがいた岳海蒼丸は応援しようと、岳海蒼丸のメンバーが出る番組などは見るようにしている。
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