何色でもない。

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 「俺だって演技なんか出来てないよ。まぁ俺は、登場数分で死ぬから演技する必要もあんまりないんだけど。てか、急に『演技して』って言われて出来るわけなくね? 初めてやるんだし。教えてくれる先生だっていないんだし。上手いに越したことはないんだけどさ、それより俺は、マルオとがっくんと拓海が楽しんでやってくれればそれでいい。俺だけ楽しんでるの、なんか悪い気がするじゃん。俺は、俺の書きたい脚本を書いて、好きなように演出して、自由にカメラを回してる。だから、マルオもやりたいように演じてよ。マルオがもうやりたくないって思っているなら、無理強いをするつもりはないんだけど、マルオがいなくなるのは寂しいよ」  『辞めるとか言わないでね。無理強いはしないけど、しつこく引き止めはするからね、俺』と蒼ちゃんがマルオの顔を覗き込んだ。  「蒼ちゃん、ありがとうね。そんな風に言ってもらえるの、嬉しい。俺、冴えないしクラスでも目立たないタイプなのに、この輪の中にいていいのかなって最近思うようになってさ」  蒼ちゃんの言葉に少し笑顔を見せたが、マルオの眉間には皺が入ったままだった。
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