何色でもない。

30/69

108人が本棚に入れています
本棚に追加
/377ページ
 「蒼ちゃんは自分勝手なんじゃなくて、自由なだけですよ。蒼ちゃんは自由でいいんですよ。俺、蒼ちゃんが作り出す物語が大好きなんですよ。蒼ちゃんは天才だから、周りと違っていて当然なんです。誰にも迷惑かけていないんだから、無理に周囲の空気に合わせる必要なんかないんです」    蒼ちゃんの事を『変わっている』と思う。でも、蒼ちゃんは天才だから他の人と同じなわけがないと思っていて、だから蒼ちゃん自体を不思議に思っていても、蒼ちゃんが不思議である事を不自然に思った事が今までなかった。不思議なのが蒼ちゃんなのだから。普通な蒼ちゃんは、蒼ちゃんではない。        蒼ちゃんが天才である事。拓海がイケメンである事。マルオが心優しい事。俺に何の取り柄もない事が俺らの日常だから、それがいつも通りだから、花さんが心配する事など何もない。
/377ページ

最初のコメントを投稿しよう!

108人が本棚に入れています
本棚に追加