何色でもない。

36/69

108人が本棚に入れています
本棚に追加
/377ページ
 「はーい」  逃げ切った蒼ちゃんは、机の下でスマホを見ながら、今度こそ変な声を出さない様にと自分の口を手で押さえながら、ニヤニヤ笑った。  ニヤつきがつきが止まらない蒼ちゃんを、ちょっとヤバいなコイツと思いながら横目で見ていた時、机の中でスマホが光った。  【蒼ちゃん、キモい。】  拓海からのグループLINEだった。それに、蒼ちゃんもマルオもすぐに気付いた様で、即既読3になった。  【蒼ちゃん、コワイ。】  そしてマルオから拓海のメッセージを真似た返信がきた。  あ、マルオに俺が打とうとしていた【コワイ】を取られてしまった。語彙力はなくともノリは良い方でありたい俺にスルーという選択肢はなく、  【蒼ちゃん、臭い。】  かろうじて韻だけを踏んだ適当な言葉を返信すると、  「ぶッ。ゴホゴホゴホ」  拓海のツボに入ったらしく、吹き出してしまった。が、流石の役者志望。上手く咳で誤魔化した。そして、  【がっくん、殺す。】  突然の殺害予告LINEをされた。  今度はそれにマルオがハマリ、肩を揺らしながら静かに笑い出した。  【蒼ちゃんが臭いばっかりに、がっくんが死ぬの?】  マルオの一文に、蒼ちゃんと俺も笑い出しそうになってしまい、国語の授業が終わるまで、4人共奥歯を噛みしめて笑いに堪える事態となってしまった。
/377ページ

最初のコメントを投稿しよう!

108人が本棚に入れています
本棚に追加