何色でもない。

37/69

108人が本棚に入れています
本棚に追加
/377ページ
 授業が終わるチャイムが鳴り、先生が教室を出て行った瞬間に、  『オイ‼ 蒼ちゃん‼』  拓海とマルオと俺とで『笑かすなよ‼』と蒼ちゃんの席を囲んだ。  「イヤイヤイヤ、がっくんも悪いだろ。なんで俺が臭いんだよ‼ キレそうになったわ」  『しっかり制汗剤付けてるっつーの‼ シトラスフローラルじゃ、コノヤロウ』と、蒼ちゃんが俺の頭を鷲掴み、自分の脇に近付けると、  「確かにそう‼ がっくんがわけの分からんタイミングで【臭い】とか言うから、俺まで笑ってしまったんじゃん」  拓海も加勢して、俺の顔を蒼ちゃんの脇に押し付けた。  「待て待て待て待て‼ マルオだって悪いだろ‼ 何だよ【蒼ちゃんの臭さで、俺が拓海に殺される】って。笑わせに来てるじゃん‼」  『悪いのは俺じゃねぇ』と標的をマルオに変えようとすると、  「それは、拓海が急に殺害宣言するからじゃん‼」  マルオが『元凶はあっち』と拓海を指差した。  「えー‼ 俺⁉ 違う違う‼ そもそもは蒼ちゃん‼」  拓海がマルオの人差し指を握り、蒼ちゃんに向けた。  「そうだ。蒼ちゃんが授業中に、聞いたこともない声を出したのが悪いんだ‼」    俺も人差し指を蒼ちゃんの方向へ。  「蒼ちゃん、何があったの?」  マルオが蒼ちゃんに向かって首を傾げてみせた。
/377ページ

最初のコメントを投稿しよう!

108人が本棚に入れています
本棚に追加