何色でもない。

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 「『優れた脚本とカメラワーク。編集・演出も秀逸』だってー。めっちゃ褒められてるじゃん‼」  全部を自分勝手に決めてしまった蒼ちゃんを責める俺と拓海を他所に、マルオが選評に目を通した。  「…どれどれ」  マルオにつられて拓海と俺も選評を目で追う。  「……」  俺の隣で、拓海が表情を曇らせた。  そこに書いてあったのは、蒼ちゃんを賞賛する文章だけだったから。  拓海の演技に関する文章は、一行もなかった。  マルオや俺とは違い、役者になると心に決めている拓海にとって、何の評価もされなかった事はショックだったのだろう。  「…やっぱ蒼ちゃんって、才能あるんだな」  拓海が悔しそうに呟いた。  「今回は映像コンクールだったから、次は演劇のコンテストとか応募してみる?」  蒼ちゃんが拓海の様子を気にしてか、拓海が目立てそうなコンテストへの挑戦を企てた。  「それ、拓海は大丈夫だろうけど、俺らヤバイだろ」  拓海を気遣った蒼ちゃんの提案は、拓海以外の3人には結構厳しい。マルオと俺は大根だし、蒼ちゃんはすぐ死ぬ役だったから、実力のほどが分からない。
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