何色でもない。

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 「まぁ、A高を目指す事と願書を出す事は、どんな馬鹿にでも権利はあるからね。ただ、入学は誰にでもは出来ないのよ、残念だけど」  姉が涙を出しながら笑うと、『どんまい』と言いながら俺の肩を叩いた。  「うるさいな。絶対A高に受かって、姉ちゃんの事見下してやるからな‼」  俺の肩に乗っかっている姉の手を払い除ける。  「お姉ちゃんの事、『見返す』んじゃなくて、『見下す』のかよ。まぁ、高見を目指す事は良い事だ。頑張りなさい。ただ、滑り止めは必ず受かる学校を受ける事。世の中には『保険を掛ける様なヤツは大成しない』とかほざく大人がいるが、保険を掛けない様な人間は、失敗した時に周りに迷惑をかけやがるからな。保険はとても大事‼」  姉ちゃんと俺のやり取りを見ていた父親が、『保険は大事』と熱弁しながら、俺のA高受験を応援してくれた。  おそらく彼は、保険を掛けなかった無鉄砲な誰かに迷惑を掛けられた苦い過去があるのだろう。  「了解‼」  こうしてA高を目標に勉強する日々が始まった。
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