何色でもない。

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 「確かに。がっくんもめっさ頑張ってたけど、俺らだって勉強しまくったもんな‼ がっくんも俺らにおめでとうって言えよー‼」  さっきまで泣いていたくせに、急に笑顔になっては『早く言えー』と言いながら俺を擽り出す蒼ちゃん。  「そうだよー。言ってよー」  マルオも蒼ちゃんに便乗して俺の横腹を狙う。  「言え言え」  拓海に至っては、俺の脇の下を襲撃した。  「あはははははは。くすぐったいー‼ やめてやめて‼ みんなおめでとうってー‼」  3人に強制的に笑わせられながら『おめでとう』と言うと、  『ありがとう、がっくんー‼』  と3人に更に擽られまくり、笑い過ぎて吐きかけた。  やっぱり俺は、みんなと一緒にいる時は、泣いているより笑っていたい。  こうして俺たちの受験地獄は、俺だけ補欠合格という形だったけれど、とりあえず有終の美を飾って終わった。
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