人見地蔵

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 あわよくば、私を知る全ての人に幸があればと願う。  そうして私はまた人々の流れを眺めていく。  時は刻まれて、『人見地蔵(ひとみじぞう)』と呼ぶ人々は減ったけれど、今も昔も、私は見ている。  悠久の時の中で、人々の栄え老い朽ちるまでを。  私が先に朽ちるだろうけれど、それまではここで人の世を眺めていよう。   有り難き人の世の、繁栄を願いながら、こうして人見地蔵も、他の地蔵のように朽ち果てたという。 数多の人々によって、尊重に扱われて、弔われたとさ。
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