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魔法の本GET! ~Get MagicBook~
「これ、何?」
本を手渡された私____遠島桜楽(えんどうさくら)____は、お母さんに聞いた。
お母さんは、質問に答えずに、黙って微笑む。
今、お母さんがいるのはベッドの中だ。
以前かかったことのある病気の後遺症で、再び病にかかってしまったお母さんは、去年の秋の終わり頃からずっとこの病院に入院している。
ちなみに、この病院は近くにあるし大きいから、私もお母さんもよく利用している。
話を戻すと、まだ六歳の私には、お母さんのいない生活ははっきり言って寂しいしキツい。
でも、わざわざ遠くから叔母さんが家にやってきて面倒を見てくれているし、贅沢言ってられない。
それに私は、こうして幼稚園が終る度病院に直行してお母さんのお見舞いをしている。
分からないことがあったらその時に聞くし、顔を見られて話しもできるんだから何とか我慢できる。
入院する病院があっただけでも、十分だ。
ちなみに、今この病室にいるのは私とお母さんだけ。
叔母さんは、二人で話せる時間を邪魔したくないと言って、幼稚園の後のお見舞いにはついてこない。
「なあに、この本?」
私は、もう一度聞いた。
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