今宵ひと晩、きみを

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「鈍いひとですね君も。分からないようだからもう一度教えてあげる。――言葉じゃなくて、この躯に直接」  飛翠はそう云うと、手を腰から下肢へと伸ばし、焔華のものを握り込んできた。 「!!……やめろ、止せ……ッ」 「いいえ、止めません。いつも腕頼みばかりで他人の心を推量する能力に欠けている君に、ちゃんと気づかせるまでは」  飛翠の手が、中心を握りあげゆるやかに扱きはじめた。  高めようとしてくる激しい指の動きに翻弄され、抵抗する心とは裏腹に、焔華の中心はすぐに屹立してしまう。男に握られているというのに体の反応は正直だ。 「ほら……またこんなになって来ましたよ。頭と違って、君の躯は敏感ですね」  飛翠は肥大した尖端部に爪を立て、沁み出してきた先走りの液を指先で茎全体に塗りひろげてゆく。扱かれるたび、くにゅくにゅと卑猥な音が鼓膜を刺激する。  焔華はたまらず息をあげ、嫌がりつつも官能の渦に押し流された。こわばった背を弓型に丸め、絹の寝台に顔をうずめ、声をこらえようとシーツを噛む。くぐもった嬌声がかえって淫らに、響き渡る。
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