今宵ひと晩、きみを

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「我慢することはないんですよ。きみは今までこういうことを知らなさすぎた――違いますか? 愛だの恋だの性だの、自分には関係ないと思って生きて来たんでしょう? 横で友人が苦しんでいることさえ気づかないで、いつもさっさと一人で何処かへ流浪の旅に出てしまって」 「っ……」 「久々に帰って来たかと思えば、とうの昔に天上(くに)を追われた皇子たちの話ばかり。ぶっちゃけ、どっちが帝の跡取りに返り咲こうが私には本当にどうでもいいんですよ、」  飛翠は硬質な声で吐き捨てると、汗ばむ焔華の肩を、脇を、背後から舐め上げた。 「うッ…」 「イイんでしょう? ココをしごかれながらこうして舐められるとイきそうになるんでしょう。…感じるなら我慢せずにもっと啼けばいい。さっき抱いた時も、きみはいい声で啼いてくれたじゃありませんか」  ぎゅ、と不意打ち的に陰茎の根元をつかまれて、昂りが瞬時に行き場を失う。その瞬間、焔華は思わず息を吸って叫んでいた。 「んん、や、…飛、翠……っ!」  自分でも聞いたことのない、重たく、熱に浮かされたような声が唇からこぼれた。
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