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だが、射精したいのだと分かっているはずなのに、飛翠はことさら汗のういた背筋に指を這わせたりして、
「体が紅く火照ってきましたね。綺麗な体だ」
などと話を逸らすのだ。中心を戒められた焔華はひたすら息を浅くする。
「飛……、ひ、すい」
「いい声で啼けるようになってきましたね」
「も、もう…ッ」
「『もう』、なんです? ちゃんと言わないと分かりませんよ」
「この、手ェ、離せ……」
「何ですって? 言葉遣いが悪すぎますよ君は。どうして手を離さなきゃなんないんです? もっと直截的に言ってごらんなさい」
「い……っ、イきた……頼む…、っイかせてくれ――」
「最初からそう言えばいいんですよ」
根元を戒めていた指が、ふっと解けた。その瞬間、前頭部で白光が弾けるような、まばゆい閃光感を感じた。
「…………ッッ!!」
焔華はうつ伏せで身を丸め、はぁはぁとあえかに吐息をつく。
しかし絶頂感に浸る余裕もないまま間髪入れずに、背後の飛翠に下半身を引き寄せられた。
「こんなに太腿を汚して、はしたないですね。…でもまだ終わっちゃいませんよ。今度は腰を逸らして、もっと尻を上げなさい」
「嫌だ、いやだ…!飛、すい……何んっ、で、こんな」
「安心なさい。私はきちんと約束は守る。君が私に契約だと云って体を差し出したのだから、私も君の要請どおり軍師にでも何にでもなってあげますよ……。
けれど、私が最初に云った言葉を覚えていますか? ――焔華、今宵ひと晩きみを、私の好きなようにさせろと云ったでしょう?
まだ夜は明けきっていない。まだ私には、君を好きなように嬲る権利があるんですよ。朝が来るまではね」
「……っ卑怯者……」
「間違えないで。私は狡賢くなんかない。これは契約ですからね。さあ、尻を上げて両脚を開くんです。そうして犬のような姿勢で、君の恥ずかしい部分をもっと私に見せてください」
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