百戦錬磨のエクスタシー

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 あの悪魔、私が告白されたら誰にでもOKを出してしまうだろうなどと言っていた。  それが嘘でないことは、今は自分が一番よく知ってる。  そして一度でも告白されてしまえば、色情魔への道が開かれることが濃厚に予感された。  またそうでなくとも、その告白が一生分の思い出として残り、きっと後世に渡って重い意味を持ち続けることになるだろうと。  つまり危険を回避するには、まず告白自体を避けなければならない。  そのイベント自体が非常に魅力的であることは否めないけれど、  それでも一度でも許せば、破滅への第一歩である。  ゆえに私は以前とは比べ物にならないほど、ウブな乙女のごとく人間関係に過敏になったのだ。  そんなスリリングな毎日を送るうちに、次第に胸のカウントは目に見えて減っていった。  大変な日々ではあったけれど、その数が70、60、40、20……  と減っていくごとに、私は祭りが終わるカウントダウンをされているような、切なく寂しい気持ちが膨れ上がっていくのを感じた。  もしも私を変えるという意味であの悪魔が呪いをかけたのだとすれば、  大成功だ。  私は今の自分を失いたくないと思っている。  でもそれは不可能なことなのだ。  最近ではもう、車とすれ違っても「轢かれるかも!?」とか「王子様が現れて私をパーティーに招待!?」などといった子供じみた空想に浸ることはなくなっていた。  日常の些事では、もうほとんどゾクゾクできなくなっていた。  私はそろそろ、元の自分に戻りつつあるのだ。  何もかもが出来てしまい、何にも感動できない、あの頃の私に……。
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