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そうして、ついに最後の一回が訪れた。
胸元には「1」の文字。
これが消えてしまえば、もう「胸のサイズを暇さえあれば気にしている女の子」などとクラスの女子たちから揶揄(からか)われることもなくなるのだろう。
すべてが元通り。
その切なさに思いを馳せるとき、これが本当に呪いの魔法なのだと気付かされる。
終わってしまう。
感動力がすり減っていくのは避けられない。
だから私は特別な感動を求めた。
一番いい思い出で、最後のエクスタシーに幕を閉じたいな、と。
そんな思いから、この時の私はきっとそわそわして、油断していた。
そのため近寄ってきた男子に、軽々と接近を許してしまっていた。
「あの、新条ゆかりさん」
その少年は、まっすぐに私を見て言った。
「あなたに、改めてお話があります。屋上に行きませんか」
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