百戦錬磨のエクスタシー

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 小柄な男子のあとに続いて、一歩ずつ屋上へと続く階段を登っていく。  今から何が起こるかも分かっていた。言うまでもなく、告白されるのだろう。  以前の私ならきっと、 「屋上で待ち合わせるならまだしも、今目の前にいるんだから、ここで言えばいいじゃない」  などと、相手の気持ちも理解した上でビシリと厳しい口調で告げたはずだ。  だけど、今日の私は違った。  もうすぐ、この“私”が終わろうとしている。  最後に告白されて、首を縦に振る。  それも、いい終わりなのかもしれない。  素直に、そんな風に思えた。  何より、自分に好意を寄せてくれる人が、これから思いの丈をぶつけてくる。  相手が今、どんな気持ちでいるんだろうと考えて、胸の内側を花火が揺らし続けている。  誰かに告白されるって、こんなに熱く、切なく、期待感に満ちたことだったんだ……。  やがて屋上について、二人向かい合う。  私はハッとしてしまった。 「あなた、確か、前に私に告白してきた……」 「ええ、そうです。あなたに告白した一年の結城です。  覚えててくれたんですね」  彼は、例の悪魔に呪いをかけられる直前に告白してきた、あの臆病そうな男子だった。  まず一学年年下だってことも知らなかったし、  それにこんなまっすぐキラキラとした目を持つ子なんだってことも気付かなかった。  それほどにも、私は他人に興味がなかったんだ……。
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