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「月とすっぽんって言葉知ってる?
あなたと私とじゃ雲泥の差、絶対上手くいかないのは火を見るより明らかでしょ。
そういうわけで無理。分かった?」
私の堂々たる返事に、その子は項垂れて、くらーい感じて呟く。
「分かりました、無理言ってごめんなさい……」
トボトボと屋上を後にする。
それにしても、妙に根暗な感じ。あれでどうして私と釣り合うと思ったんだろう?
背中を見送りながら、追い抜いて先に帰ろうとしないだけ、私って心優しい少女なんだと思う。
夕暮れ時に、屋上から下界を見下ろしながら、懸命に青春に励む運動部の子たちに心のなかで声援を送る。
もちろん本気で応援する気になんてなれない。
そんなにマジになっちゃって、何が楽しいの?
私なら一瞬で極められるのに。
告白してきた子、そろそろいなくなったかな?
追い抜く可能性がなくなったと判断し、私は屋上をあとにしようとする。
すると振り返った視線の先、誰かが立っていた。
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