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学ランを着ているから、この学校の男子なんだろうけど、その顔は彫りが深く、顔のパーツが妙に窮屈にまとまってる感じで、陰険そうな性格が伝わってくる。
「なに、あなたも私に告白しに来たの?」
「…そう、そうだ、俺は決めてしまったのだ……」
気色悪く、ぶつぶつと呟く。
「俺としたことが、人間に、しかもよりにもよって、こんな女に惚れてしまうだなんて……」
「ぶつぶつ言ってないで、告るならさっさとして。じれったい野郎ね」
鬱陶しかったので、正直に告げる。
こういう面倒な奴は、何か少しでも期待させる発言をすると、妄想を膨らませて盛大な勘違いすることが多い。
残酷すぎるほど、きっぱりと断ってやるのが、お互いのためになるのだ。
「そ、そうだ……新条ゆかり!」
意を決したように、キモイ男子が言った。
「俺と付き合え!」
「却下」
即答。ちょっぴり腹を立てている私。
こいつ何様? まず身の程をわきまえろ。
「な、なんだと……あろうことにか、俺様の告白を断るとは……」
「いや、っていうかあんた誰? いっぺんそこから飛び降りたら?
そうすれば私と釣り合うとかいう誇大妄想から覚めて……って、ええっ?」
私が冷たい口調で言い終える前に、そいつは突然走り出した。
そして屋上の鉄柵に頭から突っ込むと、それを破ってそのまま落下――
う、うそでしょ!?
いくら女王様気質の私が言ったからって、そこまで従順にしなくても……
さすがの私も焦り、その方へと近づく。
ぶわぁっ!っと、真っ黒い影が視界一面に広がった。
その影の正体。
頭上に真っ黒い翼を生やした、悪魔の姿があった。
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