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最終章
リン、リンと音を鳴らして木の上で足を揺らす少女が居た。
「――ふふ」
その少女の体は普通の人のものではなく頭に猫の耳と長い尻尾
が付いていたのであった。その女の子は機嫌良さそうに尻尾を揺
らして時より木の上にある、うるさい音が響く場所へと視線を向
けるのであった。
「おーいユナ。また、そんな所で居るのか?」
そんなユナと呼ばれた少女に木の下から呼び掛ける少年の声が
聴こえた。それに耳を揺らした後に木から軽々と飛び降りたユナ
は狐の耳と三本の尻尾が生えた少年に笑い掛けて。
「なんでか分からないけど勝手に足が進んじゃうの。
ごめんなさい」
「いや別に何回でも迎えに行くから構わないけど。それより赤鬼と青鬼
の方が問題だよ。祭りの準備が嫌だったから家出したとか叫んでたよ」
「なぁにそれ」
「毎年、毎年祭りがある度に消えるからだよ」
呆れ気味に言う少年にユナは苦笑して。
「そうね。気を付けるわ」
そう言って笑った。
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