第4章「取り入りメンヘラー」ー後藤田 真美②ー

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第4章「取り入りメンヘラー」ー後藤田 真美②ー

「やだっ! 今、すごい寒気した」  真美は、突然の悪寒にブルっと身震いをし、か細い両腕で貧相な裸体を抱きしめた。 「なんだ? 寒いのか? 風邪でもひくんじゃないのか?」 「ううん。そういう感じじゃなくて……なんか、得体の知れないものに睨まれて、怖くて震えてるって感じ……」 「ははっ! なんだそれ? 誰かに呪いでもかけられてるんじゃないのか? ほらっ、俺があっためてやるから、もっとこっち来いよ」  本田は、煙草の火を消しながら、真美を抱きしめた。  本田と真美の愛の巣と化しているこの築15年の2Kのアパートは、真美の住処であり、1カ月前までは、元カレと住んでいた。“J&Y”の店長である本田との浮気が発覚し、元彼がこの家を出て行ったのだ。
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