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  気がつくと、あたしはグループホームの、ひいじいちゃんの部屋に戻ってきていた。 今のは、夢……?  だけど、それにしては、やけにリアルだった。  ひいじいちゃんは、上半身部分を跳ね上げた介護ベッドの上で、こっくりこっくりと舟を漕いでいた。あたしはベッドのコントローラーを操作して、上半身部分を下げていく。 「光子……」  ふと、ひいじいちゃんが目を閉じたまま呟くように言う。 「なに?」 「一〇〇歳になったら言うって、約束したな……」 「!」  ゾクリとした。もしかして、あたしとひいじいちゃんは、同じ夢を見ていた……?  そして、彼はまだ、その続きを見ているのか……? 「俺はな……あの時、本当に、教員やめて、戦闘機乗りになるつもりだった……でも、おまんにしゃつけ()られて、目が覚めた」  ……違う。  時間感覚が、戻っている。この人は、今が戦時中じゃない、ってちゃんと分かってる。時々、こういうこともあるのだ。 「おまんの言うとおりだ。俺が杉田上飛曹みてえな撃墜王になんて、なれるわけねえこて。せいぜい逆に撃墜されて、靖国神社に祀られるのがオチだろう。だけど、あそこでおまんがダメって言わんかったら、そうなってたかもしんねえ……だすけ、俺はおまんには、ばか感謝してるこて」  ……。  そんな……あの時、あたしが、この人を救ったの? いや、あたしや翔ちゃんも含めた、この人の子孫の全てを……? 「あの時の約束の言葉を、言うよ……光子……今まで、ありがとうな。おまんと一緒になれて、俺は……本当に幸せだったて……」  そう言うと、ひいじいちゃんは、本当に嬉しそうな顔になった。 「ひいじい……ううん、大造さん……」  声が震える。 「……あたしも、本当に、幸せでしたよ……」  あたしの頬を、涙が伝った。
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