百歳の君、十歳の僕。

1/7
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ

百歳の君、十歳の僕。

 当たり前の幸せに気づけなかった――気づいていなかったことをようやく知った、その日。  僕の現実は無残に崩れ落ちた。奪い取った慣れない武器に、その重さに震えながら――それでも立ち止まる暇などあるはずもない。  何故なら僕には、何よりも守りたいものがあったから。  僕に出来ることはただ一つ。  泣きじゃくる君の手を握って、亡者ばかりの世界をただひたすら逃げることだけだったのである。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!