16 クレイジーvsクレイジー

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『まったく…何を手こずっているんですか、海賊さんたち。せっかく君らに力を与えたというのに、それではいけませんねぇ。』 聞き覚えのある声、見覚えのあるローブ姿の少年…04が突然フィールド内に姿を現した。どうやら、叛斗たちと繋がりがあったようだ。 「お前…こないだボコされたはずじゃ…やっぱ死に損なってたってたってオチか?」 『ああ、そうだとも。あの時君に倒されかけはしたが、あくまで分身が倒されかけたに過ぎないのさ…本体はこの子達を洗脳するために西区へ赴いていたのさ!』 「じゃあ…オレと蓮は…本当の海賊と戦ってた訳じゃないんだね…そうだったなら…そうなら…許せるわけないだろうがぁ!」 蓮が悔しがるよりも先に新太は抑えきれない怒りを一気に大爆発させた。その勢いはまるで火山のようだった。 『アハハハハ!やっぱりそういうことか…ボクらになくて君らにあるもの…それは明確で細かい感情の起伏!人間のみに与えられたその力…もっと見せてもらおうか!』 「02は…二菜は…敵だったけど迷ってた!アイツには少なからず心があった!だけどお前は違う…心で弄ぶなんて…ゲームキャラのしていいことじゃ…」 「新太、よせっ」 「ないだろぉぉぉぉぉぉぉぉ!」 蓮の制止も虚しく、新太の怒りは頂点を突き抜けてしまい、彼の体からものすごい風と共に巨大な緑色の翼が生えた。そして、次第に人間から馬のような姿に変わり果てた。 「なんであんな姿に…今までこんなことなかったのに!」 緑色の馬は蓮や涼磨を区別することなく猛烈な旋風で吹き飛ばした。 『これは…面白いじゃないか!フフ、ボクも本気を出させてもらうよ。もう君に用はないよ、叛斗。』 04はこの状況を楽しんでいるのか、プレイヤーフォルムからボスフォルムに変化して目の前の緑の馬と対峙した。 『ユルナサイ…オマエダケハァァァァ!』 『そうか…これが人間の怒り!素晴らしいじゃん!ボクにもっと見せたまえよ!』 …何かできないのか、俺は。もう新太(アイツ)を止める術はないってのか… 蓮は改めて自分の無力さを悔しがった。
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