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「ねぇ二菜、今日の帰りみんなで寄宿舎近くの駄菓子屋行かない?あそこ確かアイスがめちゃ安かったでしょ?」
「抹茶アイス…!」
「にーなの目がすごくキラキラしてるよ!」
「なっ…何でもない」
「多分、そのアイスあった気がするよ。よかったら、一緒に探してあげるよ?」
「いいの!」
「もちろん、いいよ!オレ部活入ってないし!」
二菜の顔はそれまでの殺気全開の顔から完全にマンガのヒロインのようなキラキラした笑顔になっていた。
「…なぁ香織。アイツら最近やけに二人で出掛けること多いよな?」
「そっ、そうね…でも、年頃なんだし、それが普通じゃないかな?」
「俺は普通じゃないのか?」
「誰もそんなこと言ってないでしょこのバカ!ほんと勘違い酷いわね、四野くん。」
まーた始まっちゃったよ…チーム組んでからこの二人の喧嘩がなんか日常的になってきた気がする。
「ちゃんと約束…守ってね!」
「え?あぁ、うん!分かった!」
新太はこの時脳内で勝手に『女子と二人で出掛ける』というシチュエーションに悶絶していた。
―放課後、駄菓子屋―
「私、駄菓子屋って行くの初めてなんだ。新太は?」
「オレは…五年前くらいに蓮と二人でしょっちゅう行ってたんだ。くじ付きガムで当たり出すまで帰らなかったんだよ。」
「新太らしいね、今も昔も。」
この時、駄菓子屋の近くの小さい樹の影になぜか三樹と蓮が隠れていた。二人ともお互いの親友の関係性を調べようとしていた。
「あった…抹茶アイス!」
「オレは普通のにしよっかな。すいませーん!」
「あいよ、今日はガールフレンドと一緒かい?」
「ガッ…」
「おばちゃん、二菜が困ってるじゃないか!」
二菜は顔をこれ以上ないくらいに真っ赤にしていた。今にでも頭から湯気が出そうになっていた。
新太と二菜はとりあえず店内の椅子に腰かけて、それぞれ買ったアイスの封を開け、食べ始めた。
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