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―その後、オリエンテーリングスタート地点―
「いいですか、皆さん。山のふもとからしおりに書いてあるチェックポイントを全て回って戻ってきてくださいね!雲行きは怪しげですが、負けずに頑張ってください!」
学年主任の先生からの合図と共にオリエンテーリングが始まった。チェックポイントは三つしかないがそこに行き着くまでがかなり地獄で、オレらの一個上の先輩たちの中には途中でリタイアする班もあったらしい。
だけど、諦めずにやりきってやるぜ!
―山道―
「まさかこんなところでNEW黒ジャージが役立つ日が来ようとは…衣服の取捨はタイミングによるな、ホント。」
「オリエンテーリングって、こんな歩かなきゃダメだったっけ?」
「何でアンタたちはそんな早く歩けるの?しかもペース落ちてないし。」
二菜と三樹はスタートからおよそ40分ほど歩いた地点から急にペースが落ち始めていた。
「なんだ三樹、もうギブアップってか?このくらい余裕だろ?」
蓮は後ろを振り返りながら三樹をからかってるのか挑発してるのかは分からないが、声をかけてあげた。
「なっ、疲れただなんてそんなこと言うわけないし、言いたくもないわ!特にアンタの目の前なんかでは!」
「こ、こんな非常時に喧嘩なんて…やめ…きゃっ!」
二菜は道にあった樹の根っこに足を引っ掻けてその勢いで転んでしまった。
「二菜、大丈夫?立てる?」
「平気…私の不注意だもん。さ、もうすぐ第一チェックポイントだよ!」
新太の声のかけ方やかけたときのセリフを聞いた蓮はどこか辛そうな顔を見せた。
「四野くん…どうかしたの?具合でも悪くなったのかしら?」
「少なくともお前の前で熱中症でぶっ倒れたりは死んでもしねーわ!」
「人が心配してあげてるのにその態度はないでしょ!ホント四野くんってサイッテー!」
「何とでも言え、バーカ!」
「…っ、もう知らない!行こ、にーな!こんなヤツ置いてこ!」
「え、オリエンテーリングは班全員でって先生が…」
蓮のつれない態度にあきれた三樹は二菜を引っ張ってどんどん足早にチェックポイントの方へ向かっていってしまった。
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