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「新太、得意科目って…ある?」
「えっ、特にこれと言ってないけど、どうかしたの?」
「もうすぐ7月になるでしょ?7月って一学期の期末テストがあるでしょ?私…自信なくて。」
「そっか…連日バタバタしてたから抜け落ちてたけど、7月ってよくよく思い返せば学期末じゃん!」
「…忘れてたの?」
「あはは…(あんだけの騒動に巻き込まれりゃ忘れちゃまずいものも忘れるわ!)」
「もし…新太がいいって言うなら…ほっ、放課後に教室で教えてほしいな…って。」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、二菜それ本気!?」
「そうだよ…どうかしたの?」
「特に得意科目ないって言ったそばからそんな無理難題かよ!」
「…これ落としたら林間学校行けないって聞いたから。」
「林間学校ぉぉ!」
もはや新太の脳内からは一年間の学校行事の八割が抜け落ちていた。
「…とにかく、手伝うことは手伝ってあげるけど、教えるの上手くないことは覚悟してくれよ。」
「…ありがとう、新太。」
あれっ…二菜ってこんな乙女チックな子だったっけ(超絶本人に失礼)?恋愛とか青春とかどうでも良さそうな感じだったのは全部ウソってことかよ!
てか、何でさりげなくOKしてるんだオレぇぇぇ!人に教える以前に女の子の…それも同い年に教えるなんて…無理無理無理無理無理無理無理!
新太の脳内は完全に思考回路がショートを通り越してオーバーヒートを起こしてしまい、しばらくピヨピヨ状態になってしまった。
「そう言えば、林間学校ってどこ行くの?」
「西区の海だけど?もしかして何かあるの?」
「へっ?あっ、いやぁ~…あはは。」
言えるかぁぁぁぁぁ!こんないい雰囲気で『自分泳げませぬ(浮き輪あってもたぶん無理)』なんてこと言えるわけねぇだろ、オレぇ!
「隠し事はダメだって言ったでしょ?何かあるなら教えて。誰にも言わないってライフルに誓うから。」
「ライフルにって…はぁ~…」
女子が言うセリフとは思いがたいとはいえ、意味合いとしてはだいたい分かったが、それでも新太は自分の恥ずかしい面を暴露することに多少の躊躇いがあった。
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