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じりりり、と耳を劈くような機械音が耳元で鳴り響いた。瞼も頭も重い。ゆっくりと目を開けると、眩しいほどの光が窓から注ぎ込んでいた。朝だ。
そこで下半身が冷たく気持ちが悪いことに気付いた。ボクサーパンツの中に手を突っ込むとぐっしょりとおねしょでもしたかというほどに濡れていて、ぬるっとしたあれ独特の感触がした。
――あれは夢だったのか。深い溜息を一つ零す。枕元を見ると、『マッチョ男シリーズ SM調教――地獄の末の絶頂天国を味わえ』というゲイDVDが転がっていた。部屋のノートパソコンで鑑賞しながら寝たことを思い出した。これのせいか。
ぐしょぐしょになった下半身をティッシュで拭い、新しいパンツに履き替えそのまま制服に着替える。
汚れた下着を軽く洗面所で洗って洗濯機に入れた。この一連の流れは童貞で処女で高校生の僕には既に日課だった。
居間に行くと母さんが布団を敷いて寝ていて、その脇にあるちゃぶ台の上には、前日の余りの食パン二切れといちごジャムが置いてあった。起こさないように音に気を付けてトースターで焼きジャムを付けて食べた。使った食器を洗って水切りラックに並べる。
洗面台で歯を磨き、髪の毛を軽くセットして、右七個左五個のピアスを付けた。
「……行ってきます」
母さんの寝顔を見て小声で呟いてから、家を出て学校に向かった。
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